□■ハウス作り■□
 まだ雪深い2月はじめ、風のない穏やかな日を選んで、ハウス内と外の雪を機械で飛ばしてビニールをかけます、この作業はまだ寒さ厳しい時期ですが、玉ねぎの種をまくための準備です。
 その年により雪の多さが違い、作業時間も長くかかったりします、家族総出で時には子供にも手伝ってもらっています、時には−20℃以下で行うこともあるので、寒さ対策は万全で出て行きますが、その内手や足の感覚がなくなってきてつらい時もあります。
 ハウスが出来上がると、日中は徐々に温度が上がっていき中の土を乾かします、そして種まき後にかけるトンネルなどの準備をしてから、虫の発生を抑える漢方薬(緑源B)を散布して耕します、その後水をまき保温用のビニールをひいて、準備完了です。


□■種まき■□
 2月の末あたりから順次玉ねぎの種まきをしていきます、種まきは専用の機械で行い、専用のマットに買い土を水で膨らませて詰め、機械的に蒔きやすくコートされた種を一粒づつ入れていき、その上に軽く土をかぶせ積み重ねていく行程を一気に行います、これを我が家では3月上旬までに3,300枚ほど(1枚あたり448穴)作ります。
 玉ねぎにもいろいろな種類があります、色では普通は黄色い皮の玉ねぎ・また赤や白いものもあります、食味では辛さの強いもの・弱いものがりります、表示される機会が少ないのであまり知られていません。ほとんどが品種特性なのですが、作り方によっては多少変わります。

□■床並べ■□
 前の日に種をまいたマットをハウス内に並べていきます、この作業は根きり用のネットをひいた上に丁寧に並べます。1マット448穴あるのですがすべてがハウス内の土についている様に並べるのです、それは発芽して大きくなると、玉ねぎの根がマットの下の穴から出て下の土の養分を吸うのです、そのためにきちんと付けてあげないと行けないのです。
 その後水をまき、遮光率80%のシルバーマルチ・トンネルをかけて、日中の温度を28℃ぐらいを目安に管理していきます。


□■植えつけ■□
 畑の雪がなくなると、作物を植えるための準備をはじめます。石を拾ったり、草を取ったり、水がたまり土の乾きが遅いところを見て回ります。畑の準備が整い、肥料をまいたら、いよいいよ移植が始まります。
 まだ薄暗い朝4時ころから、トラクターを使って畑を整地し、7時か8時過ぎには玉ねぎの苗を植えはじめます。
移植機は一度に4列、植えていきます。1日に平均7可反植えることが出来ます。
雨が降って中断したり、晴天続きで作業がはかどったり、天候に左右される仕事です。その日に植えられるだけ、畑をつくり植えていきます。「今日はどれくらいできるか??」毎日の天気予報をたよりに、仕事を進めています。今にも泣きそうな空のときには、とっても悩む仕事です。
 玉ねぎの苗は、ビニールハウスから軽トラを使って移植機まで運びます。玉ねぎの苗が植えられたマットを一枚一枚マットごとはずし、軽トラの荷台に積んで一日に何往復もします。
 土色の畑が徐々に緑色へと変わっていき、苗がなくなるか、畑がうまるまでこの作業は続きます。すべての苗を植え終わるには、天気が良いときで10日くらい。雨が多い年は一ヶ月くらいかかることもあります。
□■草とり■□
 玉ねぎの苗が植えられてから収穫されるまで数回くらい畑の中を見て歩きます。
植えてすぐ畑に入るときは、玉ねぎの苗を持って入ります。苗が植えられなかったところや、奇形苗がないかどうかを見て歩きます。
 次に畑に入るときは、草とりをしたり、病気にかかった苗を抜いて歩きます。虫の被害や病気の発生具合も一緒に観察します。葉っぱを傷つけないように、抜き足・さし足・忍び足という感じでバランスを取りながら歩くのです。


□■防除■□
 4月に植えられた玉ねぎもだんだん大きくなる7月。
玉ねぎは肥大期に入ります。このころの玉ねぎは葉っぱも茂り、風通しが悪くなります。その上雨が降り蒸し暑くなる時期でもあります。同時に病気が発生しやすくなる時期なので、よ〜く観察して防除のタイミングを逃さないようにしなくてはなりません。
 私たち農家は病気が大発生しないように、定期的に防除を行っています。病気のかかりはじめに防除ができると、薬剤を最低の濃さで散布することができます。最低の濃さで使用できると、総体的に使う量を減らすことができます。
農薬には、殺虫剤や殺菌剤などがあり、病気の発生には殺菌剤を使います。病気の種類により殺菌剤も変わります。同じ病気でもいくつかの殺菌剤があり、ローテーションを組んで使っていきます。
同じ薬を使い続けると、薬が効かなくなるからです。
いっぱい防除をすることはいっぱいお金のかかること。お金もかかることなので、必要最小限の防除になるよう努力しています。
 土壌環境を改善し、元気な玉ねぎを作ることができたら、病気にかかりにくくなるのではないかと、いろいろ勉強しているところです。


□■根切り■□
玉ねぎの根元の部分がだんだん丸くなって、ぴんと立っていた葉っぱが倒れたところで、地下深く伸びいている根っこを切り、玉ねぎの生長をとめてしまいます。これは玉ねぎの品質を良くするために行う作業です。タイミングを間違うと変形球が多くなったり、してしまいます。根っこを切られた玉ねぎの葉は、1週間ぐらいで枯れてしまいます。そして、玉の皮も茶色く色づきます


□■収穫■□
 いよいよ収穫です。出荷時期ごとに、「根切り・収穫」を繰り返し、順番に収穫していきます。
玉ねぎの葉がほとんど枯れたら、収穫を開始します。まず掘り取り機で8列分の玉ねぎを寄せ集めます。寄せ集められた玉ねぎは「オニオンハーベスター」という収穫機を使って拾い上げ、同時に玉ねぎの葉っぱを切りスチールコンテナに入れていきます。

 収穫するときは「運転する人」「コンテナを運ぶ人」「収穫機乗って土とか石、いらないものを取る人」3人以上必要です。天気にもよりますが、コンテナの数にして20〜30基くらい1日に収穫します。
 収穫は8月から始まり、10月まで続きます。そのうち収穫機が動くのは10日くらいで、それ以外は収穫した玉ねぎを、選別したり箱詰めして、出荷したりしています。


□■再選■□
 収穫した玉ねぎは、倉庫の中に入れ選別機を使って収穫時に取りきれなかった土や石、規格に合わない玉ねぎを取り除き、再度コンテナに戻します。

□■乾燥■□
 再選が終わったコンテナは、家の周りで3段に積み重ねて置きます。高く積むことで、風通しをよくし、乾燥しやすくしています。
 こうして、出荷の時期を待ちます。